皆さんは、ピアノを弾くときに、何か事前準備をしますか?
鍵盤を軽く拭いたり、指のストレッチをしたり、椅子の高さを調整したり、人それぞれの習慣がきっとあるでしょう。
それでは、弦にねじを挟んだり、ボールを置いたり、フォークやスプーンを乗せたことはありますか?大事なピアノにそんなとんでもないことをするはずがないと怒ってはいけません。実際にピアノは公式にこのような使い方をすることがあるのです。
「4分33秒」という有名な曲はピアノを始めたばかりの人でも知っているかもしれません。曲の間は一切の楽器を演奏することなく、聴衆の発する音や環境音そのものを演奏と捉える画期的で非常に斬新な曲ですが、その風変わりな曲の作曲者であるジョン・ケージが、上記にあるピアノの演奏方法を1940年に発明しました。
プリペアードピアノと呼ばれる所以は、英語のprepared から来ており、あらかじめ弦に様々な素材を準備することからこのような名称になっています。素材の種類や配置する弦の場所は細かく楽譜に記載されているので、演奏者は指示通りピアノにねじやゴム片などを置いていくだけです。演奏方法は、鍵盤を弾いてその音色を楽しむだけでなく、内部奏法といって、直接ピアノの弦を指で弾いて演奏することもあります。
実はこのプリペアードピアノ、当たり前のことなのですが、一度このような使い方をしてしまうと元に戻したところで正常な調律でピアノを弾くことは難しく、プリペアードピアノ作品を演奏するピアニストは大概自前のピアノを持っていくことになります。
つまり、興味があるからといって皆さんの家や練習室にあるピアノに勝手にねじを挟んではいけません。そのピアノは二度と使い物にならなくなってしまいます
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