ピアノ初心者にとって最初に頭を悩ますのは教本選びですね。
街にある普通の書店で見てみると意外と種類が少ないこともありますが、ネットで探してみると思考停止してしまうほどとても多くのピアノ教本が出てきます。
今回はそんな教本の中でも、「最近よく選ばれている」初心者向けの教本を紹介していきます。
この「選ばれている」とは、単純なネットのランキングではなく、私がよく聞く「いくつかのピアノ教室で採用されているもの」です。
ピアノ教本の王道「バイエル」は古いのか?
私が幼少期の頃には「ピアノの教材は何がある?」とに聞かれたときにおそらく多くのピアノ経験者は「バイエル」や「ブルグミュラー」、「ツェルニー」と答えたでしょう。
これらの教本は何十年にも渡り、ピアニストの卵たちに親しまれてきました。もちろん今でもこれらの教本は健在で、多くのピアノ教室で使われていることは事実です。ピアノは発明されてから今日までほとんどその楽器の姿を変えていないように、教本として完成されたバイエルもほとんど形を変えずに残っています。このバイエルやツェルニーというのは、いわば教本のひとつの完成形なのです。
では、最近流行りの教本はどうでしょう。
私も経験があり、よく言われることですが、先ほどのバイエルなどで練習をしていると「つまらない」と感じることがよくあります。理由は「楽譜をマスターしていっても、技術が上がっていることがわかり分かりにくく、とても単調」だからです。そのため昨今の新しい教本では「よりわかりやすく」「より効率よく」ピアノを教えるために、試行錯誤しながら作られています。これらの新しい教本は出版されては消え、また新しい教本が生まれる、これを繰り返している進化途中のものであり、いわば未完成系なのです。
そのためバイエルなどの教本は完成形だけど古い。
これから紹介する流行りの教本は未完成形だけど新しい。
と言えるわけです。
流行りの教本3選
では現在流行っているピアノ教本を紹介していきましょう。
今回はその中でも初心者向けに絞って3つの教本をご紹介します。内容がかぶっているところも多くありますので、3つすべてを購入されることはおすすめしません。それぞれの特徴をよく確認の上、一番自分にあった教本を選ぶようにしてください
①ぴあのどりーむ
まずご紹介するのは「ぴあのどりーむ」です。
この教本は、様々な学習ドリルや図鑑など学校向け教材を数多く出版している学研から出版されています。「ぴあのどりーむ」は1〜7まであり、それぞれは50ページ前後です。50ページと言っても、良い意味で中身が詰まっていないためサクサクとページがめくれていきます。
結論から言うと、この教本は「バイエル」に近い内容になっています。ただし、細かく難易度を分けられており、その分け方もはっきりとしています。
例えば「ぴあのどりーむ1」では以下のような条件を満たす楽譜のみが記載しています。
・使う鍵盤は真ん中のシドレのみ
・4分音符、4分休符のみ
です。
ここから「ぴあのどりーむ2」、「ぴあのどりーむ3」と進むに連れて、条件が緩くなり、徐々に難しくなっていきます。鍵盤の数は中心のドから徐々に増えていき、音符の種類や楽譜記号も徐々に登場してきます。
何よりもこの本は楽譜や演奏方法についての説明が非常にわかりやすく、幼稚園児など小さいお子様でも理解しやすい教本になっています。もちろん大人になってからピアノを始めてみようという方にもとっつきやすい本です。
何を買おうか迷って決めきれないという方は、この「ぴあのどりーむ」で基礎を学ぶことをおすすめします。
②バーナム
次にご紹介するのは「バーナムピアノテクニック」です。
バーナムは「導入編」から始まりそのあと「1〜4」まであります。お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、バーナムに関しては昔から親しまれているバイエルと同じく、伝統のある完成形の教本です。しかし、昔以上に最近ではよくピアノ教室で使われているように感じますので紹介します。
この教本は、先程の「ぴあのどりーむ」や「バイエル」などとは根本的に違い、「テクニック」を鍛えることに重点をおいた教本です。そのため、楽譜記号や演奏方法などは、ある程度理解している方のほうがおすすめです。
バイエルやブルグミュラーなどをやっていると、自然に技術が身につくこともありますが、必ず身につくわけではありません。これらの本で順調に楽譜を進めていくと、急に難しく感じる楽譜が出てきたりすることはよくあります。それは、指の大きさなど身体的な理由のによるときもありますが、大抵はそこで必要なテクニックが身についていないまま、その楽譜にたどり着いてしまったことが原因です。
この「バーナムピアノテクニック」では、テクニック、技術を習得するために作られた指練習の本ですので、バイエルなどに比べると、曲を弾き終わったあとに技術のノビは早いように感じます。ピアノ教室などでは同じテクニック用の教本であるハノンの前であったり、ツェルニーの前に使うことがよくあります。私が通っていた教室では、バイエルとバーナムを併用して、先生が厳選した順番でピアノを練習していた記憶があります。(バーナムは先生から借りたかな?)
個人的に大人の初心者の方は導入編を飛ばして「1」もしくは「2」あたりから始めても問題ないかもしれません。
③バスティン先生のお気に入り
最後に紹介するのは「バスティン先生のお気に入り」というシリーズです。
レベル1〜4までシリーズがあります。レベル4マスターでツェルニーの半分ぐらいかと思います。こちらは1970年代にピアノ講師をしていたアメリカのバスティン夫妻がつくった教本です。教本としては比較的最近できたものですので、まだまだ認知度も高くはありません。
この教本は3つの特徴があります。
①難しい曲を1曲ではなく、簡単な曲をたくさん弾く
②初めて見る(弾く)楽譜記号は、それだけに重点をおいて練習をこなす
③ゴールとする曲を弾くにあたって、必要なものだけを学習する
これら3つを見てみると、非常に効率的に、また現代風に作られていることが分かりますね。
また、この他にも「プレリーディング譜」というものを用いています。これは指番号と音符だけで演奏するもので5線譜を使わない楽譜です。
例えば「ジングルベル」のプレリーディング譜は以下のようになります。
このように5線譜をすぐ読みきれなかったり、分からない初心者にとって両手演奏をより馴染みやすく、わかりやすくしたものがこのプレリーディング譜です。
5線譜になれている私からすると、よく分からなくなりそうですが、、
これらの近代的で新しい教え方が評価され、この「バスティン」流の教本はアメリカで広まり、日本に持ち込まれました。私はどこかでこの話を聞いて、書店で見てみたのですが、「確かに効率的で初心者にはいいかも」という印象を持ちました。
最大の難点は英語であることです。
お子様に買ってあげるとすれば、一つ一つの言葉を親御さんが教える必要があるかもしれません。しかしそれでも、世の中にある数ある教本の中でも効率的にピアノを練習できる教本だということであえて紹介しました。
大人でも恥ずかしくないオンラインレッスン
独学だと、「どこが出来ていて」「どこが出来ていないのか」が分からなくなることがあります。そういうときのために、ときどきプロの方にオンラインレッスンで見てもらうことをおすすめします。子供はもちろん大人でも受講している人は多く、ピアノとスマホさえあれば受講できます。
おすすめのオンラインレッスンについては以下の記事を御覧ください。
さいごに
はじめに述べたとおり、ピアノの教本というのは本当にたくさんの種類があります。
ひとつひとつを試していくわけにはいきませんから、買った教本が自分にあっているかは正直ギャンブルのようなものです。
しかし、どの教本もピアノの技術と知識を高めさせるために工夫して作られていることに変わりはありません。
もし仮に1つの教本をマスターして、思ったように技術が身につかなかったとしても教本のせいにせず、すぐに新たな教本にチャレンジするようにしてください。
大事なのはピアノに向かう姿勢です。
目の前のピアノに向かい続けることができれば、それはあなたの一生の趣味になるでしょう。
もしかしたら何年かするとYoutubeやブログなどで、ピアノを仕事にしているかもしれませんね。
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