中古ピアノって実際どうなの?
きちんと作り込まれたピアノは、時間が立っても、変わらず美しい音色を出し続けます。使われずに物置小屋に置いてあるようなピアノでも、調律し直すことで素晴らしい楽器に復活するものも数多く存在するのです。そんな使われなくなったピアノを安い値段で購入して使うすることは、音楽的にも経済的にも素晴らしいことだと思います。
しかし、ピアノは非常に複雑で非常に繊細な楽器であり、中古楽器屋で売られているすべてが良いピアノとは限りません。購入する中古のピアノを選ぶ際に注意しておくポイントがいくつか存在します。今回は中古でピアノを購入する際に抑えておくべきポイントを紹介していきます。
①何に使うのか
ピアノを使う目的を整理しましょう。
子供や孫に教育の一つとして学ばせるためにプレゼントするものなのか。プロを目指してより質の高いピアノを選ぶのか。趣味の道具として購入するものなのか。用途によって選ぶ「耐久性」と「品質」の基準が変わってきます。
用途がはっきりすると、何年間その中古ピアノを弾き続けるつもりなのか、何年間同じ品質が続けば満足するのかがハッキリとしてくるはずです。
品質においても、用途次第で「ビギナー級」なのか「プロ級」なのか、間の「ミドル級」なのかがかわってくるはずです。今からピアノを始める人が「プロ級」の品質を買っても、その違いが分からないでしょうし、演奏会などで質の悪いピアノを演奏することになったときにいい音色が弾けなくなるでしょう。逆にある程度経験を積んでプロを目指している人が「ビギナー級」の品質を買う必要もありませんね。
用途をはっきりさせ、「耐久性」と「品質」の基準をしっかりと持っておきましょう。
目利きをする必要はありませんが、きちんとした楽器屋さんであれば要望を言えば親切に対応してくれるはずです。
②本体以外に発生する費用はいくらか
中古で購入することで、新品のピアノを購入するよりは遥かに安い金額で抑えることができます。とはいえ、前述した通りピアノは複雑で繊細な楽器です。ウクレレやトライアングルなどの他の中古楽器とは比べ物にならない程、高価なものです。ある程度品質の良い中古ピアノを購入しようと思ったら、最低でも本体価格で20万円は必要になるでしょう。
しかし中古ピアノを購入する際に必要になるのはそれだけではありません。
ピアノは非常に重量が重く、アップライトピアノですら、サイズが非常に大きいです。本体価格の他に送料が数万円単位で、また階段の運搬にも1万円ほどが必要になる場合があります。普通の宅配便の荷物とは比べられないほど繊細なものですので、下手に安い業者にお願いすると、『安物買いの銭失い』状態になり、かえって修理費がかさむ場合があります。
さらに、トラックで運ばれるわけですから、いくら信用のできる楽器屋さんで購入して信用できる運送会社に運んでもらっても、きちんとした音色で演奏するために調律が必要になってくるでしょう。こちらもモノによりますが、安くて数万円は見ておいたほうがいいでしょう。
このように本体の価格以外でかかる費用が、他の楽器に比べて多いのがピアノです。事前にいくらかかるのか調べておくことで予算をしっかりと決めることができ、リスクを減らすことができます。
③どこでピアノを演奏するのか
次に環境です。
ピアノはサイズが大きいですので、どのお部屋にピアノを持ってくるのか決めておき、そのスペースをしっかりと確保しておきましょう。この際、椅子が入ることを忘れないようにしておきましょう。同じく、重いピアノを長時間置いていても建物に影響がないか、念の為調べておきましょう。場合によってはキャスターや脚部にクッション等を弾くように敷いておきましょう。
また音の問題も深刻です。電子ピアノは音量を変えられますが、アップライトピアノやグランドピアノは自由に音量の調整ができません。近所迷惑にならないよう、防音に問題がないか準備しておきましょう。
④どのブランドにするか
ピアノの音色はどれも同じではありません。個人的には同じブランドの違うピアノ同士の音色の違いよりも、違うブランド同士の音色の違いのほうが大きいと感じています。
自分にあったピアノを選ぶために、それぞれのブランドの音色や他の特徴について、事前に調べておきましょう。無名のブランドのピアノを購入する場合は、ネット販売等を避けて、実際に自分の耳で目で触れてみてから購入することをおすすめします。
もし特別こだわりがない場合はヤマハかカワイを購入すれば問題ないかと思います。
⑤製品の状態に問題はないか
ある程度購入するピアノが絞れてきたら、そのピアノに問題がないかチェックしておきましょう。
- まず確認するところは、そのピアノが何年製のものかです。当然古いピアノになればなるほど修理費や維持費が高くなります。しっかりしたブランドであればシリアルナンバーが割り振られているはずですので、そこから割り出すことができるはずです。
- 次に確認するのは、シロアリです。板や柱に亀裂がないことを確認してください。すぐに壊れて使い物にならないわけではない場合でも亀裂は音に大きな影響を与えます。
- 次に鍵盤です。鍵盤全体をよく見て、均一に並んでいるか、偏った部分がないか確認してください。同時にすべての鍵盤を押してみて、グラつきや引っ掛かりがないかの確認をしましょう。
- ピアノの屋根を開けて、それぞれのハンマーに異常がないか確認しましょう。ハンマーが欠けていたり、亀裂が入っていることもあります。直接弦を弾く部分ですので、当然音に与える影響も大きい部分です。
- 最後にペダルです。まずはペダルが問題なく踏めるかを確認し、すべての鍵盤に同じようにペダルが機能するか確認しましょう。
かなり確認に手間がかかりますが、それだけリスクが大きいのも事実です。よく場所がわからない場合は店員さんに手伝ってもらいましょう。面倒臭がらずに一つずつ確認し、良いピアノを選ぶようにしましょう。
また、実物を見ることができればいいのですが、ネット等で購入する際は写真を送ってもらい、できるだけ自分の目で確認できれば問題ありません。
さいごに
最初に記載したとおり、中古ピアノの購入は音楽的にも経済的にも素晴らしいことだと思います。しかし、購入する前にはある程度の知識が必要です。楽器屋さんもビジネスでやっていますので、時には良くない状態のピアノを高値で売りつけてくることもあるかもしれません。高価で価値のある買い物をするわけですからそれなりの準備を忘れないようにしておきましょう。
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