ピアノ初心者にとって教本選びはとても重要です。
難しい楽譜が載っている本を選んでしまうと、1曲を演奏できるようになるまでに通常よりもかなりの時間を使うことになるでしょう。
逆に簡単すぎると、すぐに演奏できるようになりますが、ピアノの技術は向上しないものです。
教本を間違えると、ピアノを練習する時間を、極端に言うと人生の貴重な時間を無駄にしてしまいます。
今回は昔から使われているピアノ定番の教本の順番とそれぞれの難易度や特徴を紹介していきます
目次
ピアノ教本って楽譜が載っている本と違うの?
そもそも教本ってなにか説明できますか?
教本とは教則本の略で、いわゆる教科書のことです。
例えば、英語を知らない人が英語の小説を読みたくても読めませんよね。まずはコツコツと教科書を見ながら英単語や文法を覚えていく必要があります。
ピアノも同じです。ピアノを始めてみても、そもそも「ド」の位置や楽譜の読み方も分かりませんよね。
まずは基礎知識をしっかり学んだり、土台となるスキルを身につけていく必要があります。
ピアノ教本には、ピアノを演奏する際の基本的なこと(姿勢や指の位置)から楽譜の見方までステップを踏んで記載してあります。
ピアノを始めた方は、「この曲を弾きたい」だとか「こういう演奏をしてみたい」という理想のイメージがあるでしょう。ピアノ教本を使うことで、その理想のステージまで順を追ってピアノのスキルを上げる事ができるのです。
ピアノ教本は本当に種類が多い
「教本」、つまり「教科書」というとどのぐらいの種類があるイメージですか?
日本の学校で使う教科書には「教科書検定」というものがあり、これをクリアしたものしか実際に学校で使うことができません。だから学校の教科書にはそれほど種類はないんです。
しかし、ピアノの教本には「教科書検定」なるものがありません。誰でも好きなように「教本」という名前で出版できるわけです。そのため、本当にたくさんの数の教本が存在しています。もちろんこの中には説明が分かりにくいものや、中途半端なことしか書いてないものもあったりします。
試しに、検索しても同じ商品が重複してヒットされにくいamazonで、ジャンルを絞って「ピアノ 教本」と検索してみると
なんと
8000以上!
もちろんこの中の一部には教本とは言えないものや、ピアノ以外の教本も含まれているかと思います。しかし、ものすごい種類があることには変わりません。
もちろんすべての教本を購入したり、本屋で眺めてみるなんてできませんよね。初心者がこの中からレビューやランキングだけを見て、自分のレベルにあった教本を選ぶのはリスクが高すぎるのです。
『定番(王道)』のピアノ教本を選ぶメリットとデメリット
数あるピアノ教本の中で定番と呼ばれている教本があります。そちらを紹介する前に、定番の教本を選ぶメリットとデメリットを一つ紹介します。それぞれをよく考えた上で定番の教本にするか別のものにするかを決めるようにしてください。
まずメリットはなんと言っても、定番の教本は「実績がある」ことです。
多くのピアノの塾やスクールで使用された実績があり、多くのプロのピアニストが通った道であることです。ピアノは発明されてからいままで、形を変えたことはありません。電子化されてより手軽にはなりましたが、演奏方法は昔からずっと一緒です。そのため、先人のピアニストたちが通った道と同じ道をいまでも歩けるのです。
デメリットは、教本が形式化されて『おかたい教本』になっているため、「面白くないと感じる人が多い」ことです。
実際私も、これを経験しました。教本は基礎知識や基礎練習を永遠と繰り返します。自分の好きな曲や好きな演奏ができないことで、ピアノに対して飽きてくる場合があります。もちろん、これを乗り越えなければ好きな曲は弾けません。しかし、基礎的な技術でも「とにかく楽しく練習したい」という方は、あまり向かないかもしれません。
メリット | デメリット |
プロのピアニストも含めて多くの人がやってきた実績があり安心 | おかたい基礎練習ばかりで飽きる |
教本の順序と詳細
定番の教本の順番と難易度は以下のとおりです。
それぞれ詳しく解説していきます。
①.バイエル
こちらはご存知のかたも多いですね。
ただし「バイエル」という名前がついた教本はいくつかあります。そのなかでも定番はこちらの「全音楽譜出版社」が制作されている「標準バイエル教本」です。
バイエルは「音符の見方、片手練習」→「指番号、両手練習」→「リズム、ヘ音記号」……というふうに、ピアノを初めて触る方向けの導入レベルの難易度です。
右も左も分からない初心者の方にはまず最初に手にしてほしい教本です。
子供さんがいらっしゃれば、子供用に編集されたこちらもおすすめです。
②-1.ブルグミュラー
バイエルを終えたら、次の教本は「ブルグミュラー」です。
ブルグミュラーには導入~初級レベルまでの難易度のピアノの曲が25曲収録されています。
中には、アラベスクやアヴェ・マリアなど、だれでも聞いたことがあるような有名な曲もあります。どの曲も、難しすぎず簡単すぎず、練習としてちょうどいいレベルの曲です。
ピアノのスキルを上げるための2番目の教本として、昔からよく使われている教本です。
子供さんがいらっしゃれば、子供用に編集されたこちらもおすすめです。
②-2.ツェルニー100番
ブルグミュラーと同時進行で「ツェルニー100番」を使われている方も多いです。
ツェルニーとはベートーヴェンの弟子で、リストの師として有名なピアニストで作曲家です。彼は生涯で1000曲以上の曲を作曲したとされています。
このツェルニー100番は、ツェルニーが作曲したもののうち、練習に効果的な曲を厳選してあります。ピアノのスキルが上達するように、やさしい難易度の曲から徐々に難しい難易度の曲へと移り変わっていくのが特徴です。
このツェルニー100番は初級~中級の間ぐらいの難易度の曲でまとめられているため、この教本を終える頃には中級者の仲間入りを果たしていることでしょう。
あなたが弾きたい曲が、J-POPやトルコ行進曲などのとても有名なクラシック曲という方は、ここまで終えれば弾けるようになっているはずです。
子供さんがいらっしゃれば、子供用に編集されたこちらもおすすめです。
③.ツェルニー30番
ブルグミュラーやツェルニー100番を終えたら、「ツェルニー30番」を教本として使うのが定番です。
ツェルニー30番は、中級難易度の曲を厳選している教本です。手の動き方だけでなく、テンポや、強弱、スタッカートやアクセントなど、楽譜記号もふんだんに使われています。
様々な曲をスムーズに演奏できるようになりたければ、少なくともここまではマスターしておくべきでしょう。
④.ツェルニー40番
ツェルニー40番はツェルニー30番の延長です。
30番に比べたら、全体的により楽譜が複雑に、またはテンポが早くなっていきます。
1曲1曲見てみると、「これ30番の〇〇のほうが難しいんじゃない?」って思うようなものもありますが、それはおそらく人それぞれです。
難易度は中級の少し上の方です。
このツェルニー40番まですべて弾けるようになると、ベートーヴェンやモーツァルト、バッハなどが作曲した有名なクラシックは、ほとんどが弾けるようになってきます。
さらに厚みのある上級難易度の曲を弾きたい方はこの教本を通ることをおすすめします。
※ツェルニーは50番、60番と続いていきますので、次の教本が難しい場合はそのままツェルニーを続けてもいいかと思います。
⑤.ショパン エチュード集
ツェルニー40番まで弾けるようになったら、この「ショパン エチュード集」を使う方が多いです。
『エチュード』=『練習曲』ですので「ショパン練習曲集」と訳されている楽譜もあります。
ショパンの曲は初めて見る方にとっては曲が「変態」に感じます(笑)。慣れるとそうでもないのですが、初見の方にはどこか抵抗があるような楽譜が多いんです。私は最初にこの教本をザーッと眺めてみたときに「なんでこんな変な演奏するんだ!」と思いました。
一度youtubeなどでショパンエチュード集に収録されている曲を演奏している動画を見てみてください。
難易度は文句無しで上級です。
この教本まで演奏できるようになったら胸を張って上級レベルのピアニストといっていいでしょう。
もちろん弾ける曲から弾いてかまいません。
音楽大学のピアノ科を出ている方でも半分も演奏できていない人もいるほど難しいです。
「教本を全部まとめて買っとこう」と思っても、この教本だけはあとにすることをおすすめします。
定番以外で教本を選びたいなら
昔からある定番の教本以外でピアノのスキルを上げたい方はこちらの記事もおすすめです
大人でも恥ずかしくないオンラインレッスン
独学だと、「どこが出来ていて」「どこが出来ていないのか」が分からなくなることがあります。そういうときのために、ときどきプロの方にオンラインレッスンで見てもらうことをおすすめします。子供はもちろん大人でも受講している人は多く、ピアノとスマホさえあれば受講できます。
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